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研究資料明細
[摘要] :
台湾現代詩の領域で40年以上にわたって第一線で創作活動を続けてきた陳黎は、詩人として以外にも、ネルーダやパスといったラテンアメリカの現代詩に加え、プラスやラーキンなど欧米の現代詩、更には日本の俳句や短歌などを中国語に訳す翻訳家としての側面を持つことでも有名である。本論では陳黎のこうした翻訳者としての側面を背景に、1993年と2006年、そして2016年と三度に渡って出版された中国語俳句集『小宇宙』を中心に、陳黎作品における創作と翻訳の関係性について分析する。俳句を「翻訳不可能」な文学形態としながらその創作に取り組んできた日本語世代の詩人たちとは違い、他文化を正確に理解するよりも、むしろ背景の異なる様々なテクストを自らの作品に混在させた陳黎の俳句創作を、本論は対話的翻訳による間テクスト性の拡大といった視点から分析することで、陳黎の翻作業訳に秘められた創造性とその可能性について考察したい。