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研究資料明細
[摘要] :
本論文では、作家伊格言によって書かれた長編小説『グラウンド・ゼロ 台湾第四原発事故』(2013年)を中心に、福島原発事故以降、台湾文学における原発及び原発事故がどのように描かれてきたのかについて、テクストにおける日本をめぐる表象と合わせて考察する。テクストにおける台湾及び日本をめぐる表象を考える上で、まず台湾における原発小説が民主化運動との関連のなかで如何に発展していったのかを整理する。その上で、実在の人物をテクストに挿入するその創作手法を反原発運動と連帯したメタ・フィクションによる現実政治への積極的介入と捉え、当時商業稼動が進められていた第四原発をめぐる政策をどのように介入しようとしたのか分析する。未来のディストピアと福島原発事故後の日本社会がモザイク状に組み合わされた『グラウンド・ゼロ』を分析することで、現代台湾における反原発運動と文学創作のつながりを明らかにする。